
黒板を書く時に、経営者のかたにインタビューする。
情報をいただき、それをまとめる。
そしてどこが肝なのか。
どこがお客様の知りたいことなのか。
自分たちのサービスの何をお客様に知って欲しいのか?
他のサービスとはなにが違うのか。
ここへこないと体験できないことは何?
お客様との共感ポイントは?
と、質問する。
すると沢山のお答えをいただくのですが、
それらを全部盛り込んで欲しい!と言われることがほとんどだ。
しかし、自身のワークショップでもお伝えしているのですが、
そんなにそのお店に興味持っているお客様っていないんですよね。
黒板だしても、看板出しても、フライヤーを貼ったりしても
お客様って、ほとんど見ていない。
よく、ワークショップにご参加くださった方に質問します。
「街で気になった、看板とか黒板ありますか?」
「印象に残っている広告物は?」
と。
ほとんどの方が「何も覚えていないし、印象に残っているものはない」
とおっしゃいます。
それほど、情報が溢れている今読んでもらえたり、
目を留めてもらえるなんて、なかなかありません。
企業側は「読んでくれているだろう」という期待を
持っていると思うんですけど、お客様はそこまで好意的では
ない、という前提を知っておかないと
全く何も伝わらないで終わってしまいます。

こちらの黒板は1300✖️1300くらいのわりと大きめの黒板です。
お店のとても目立つところに設置されていて、
大きい黒板ですから、以前はおすすめメニューがびっしりと
書かれていました。
お店のおすすめは沢山あるんです(笑)
コースがとにかく細かく書かれてありました。
「あれも食べてください」
「これも食べてください」
「こちらもおすすめなんです」
「でもこっちもおいしいんです」
「そして、これは今日のおすすめです」
「今月はこれがおすすめです」
「あ、これもまだあります」
みたいな声が私には聞こえてくるような気がして(苦笑)
お客様って選べないんです。
常連さんばかりではないですし。
初めての方もいらっしゃる。
「お店が自信をもっておすすめしたいもの、
お客様にこれは是非食べてもらいたいメニューはどれですか?」
と聞きます。
でもお店の人はまだ絞れない。
「こんなに大きな黒板だから3つくらい書いてもいいんじゃない?」
とも言われました。
でも、あえてシンプルにします。
お客様の目線の動きや、お客様の心理というのでしょうか?
メッセージを伝えるには、メッセージを絞り込む。
あれこれかいても、お客様はほとんど読んでいないんです。
あれもこれも欲張れば欲張るほど伝わらない。
それは、ずっと黒板を書いてきて体感していることです。
黒板という限られたスペースの中で、書けることって
そうないんです。
ちなみに、こちらの黒板を書き終わった時に
「これだけでいいんですか?」と言われました(笑)
その後オーナーにお話しを伺うと
「うちで一番食べていただきたいメニューのオーダーを頂けるようになりました。すごいです!嬉しいです」
とのことでした。
「読んでもらえていない」
これが前提にあるか、ないかで
お客様への伝わり方が全然違う。
これは自信を持って言えることです。
お客様に届かなければ意味がない。