
田舎で過ごしていた年月よりも
上京してきてからの方が長くなってしまった。
田舎にいた時には、やっぱり都会の生活に憧れた。
同級生もみな東京の大学に進学していたし、
地元に残る人が少なかった。
1日も早く田舎を脱出したいとばかり考えていた学生時代。
地元に愛着も特になかった。

小さい頃から身近にあった岩手山。
どこまで行っても、岩手山がずっとついてくると子供の時に感じていた。
「故郷の山は遠きにありて思うもの」
とはよく言ったものだ。
都会生活の方が長くなり、この言葉の意味を深く感じる年齢にもなった。
楽しい時も、悩んだ時も、先行きが不安で仕方なかった時も
岩手山は、何も言わず迎え入れてくれる。
子供の頃は、岩手山がそこに在るのが当たり前だったけれど
大人になってからは当たり前ではなくなってしまった。
ここへ帰ってくると、自分の人生がどこへ向かおうとしているのか、
どこに向かいたいのかを、岩手山から問われているように感じる。
この風景は自分の原点回帰。
母なる大地なのである。
明日からまた前に進んでいこう。